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神経難病センター

神経難病診療について

当院は、脳血管疾患の治療だけではなく、数多くの“神経難病疾患”の患者さんの入院・外来治療を行っています。当院を受診している“指定難病疾患”による外来患者数は年間約1,700名(そのうち脳神経内科関連の神経難病患者は約1,200名)で、指定難病の認定患者数は神経難病患者さんだけで年間約700名に上ります。
また、当院は、広島県の「神経難病センター(神経・筋疾患分野)」となっています。神経難病センターに関しては、 県内では、当院と国立病院機構広島西医療センターだけがその役割を担っており、下記の役割を果たすことが期待されています。

広島県の神経難病センター(神経・筋疾患分野)としての機能
  • 1. 県が行う難病医療に関する情報収集への協力
  • 2. 県の難病医療ネットワークの構築および国の難病医療ネットワークへの参加
  • 3. 難病診療に関する相談体制の確保
  • 4. 遺伝カウンセリングの実施の体制整備
  • 5. 難病診療に関わる医療従事者を対象とした研修等の実施
  • 6. 難病患者の就労支援関係者等を対象とした難病に関する研修等の実施
  • 7. 難病診療連携コーディネーター、難病診療カウンセラーの配置

当院では、2019年12月からは脳神経内科専門医を中心としたワーキンググループを立ち上げ、当院の役割の明確化、院内の意思統一、周囲医療機関等との連携強化、研修等の実施を行っています。また2022年10月から神経難病センターとして、多職種での活動をより活性化しています。

広島県東部での難病医療ネットワークの構築

広島県東部での難病医療ネットワークの構築

福山市は広島県と岡山県の県境にあり、歴史的・文化的・経済的には岡山県西部や愛媛県の島嶼部との交流が盛んな地域です。そのため当院で診療を行っている神経難病の患者さんの居住地も、福山市周辺都市や郡部の他、海を越えた県外にまで広がっています。
これまで広島県の難病診療体制は、広島市や広島大学を中心としたネットワーク体制の構築が行われてきましたが、福山市は中国地方の第4の都市にも関わらず、難病診療のための医療・介護ネットワークの構築が十分ではありませんでした。そこで、広島県東部における、 より実務的なネットワーク構築を目指して相互連携体制整備を整えるため、周辺医療機関等との連携強化、研修等の実施を行っています。また、かかりつけ医や介護施設と情報を共有するため、情報共有シートの作成を行っています。

難病コーディネーター育成

当院では、豊富な診療実績に伴う難病看護師・コーディネーターの育成を行っています。難病看護師は専門的な知識を最大限に活かし、下記のような業務を行っています。

難病コーディネーター育成
1. 難病患者と家族の望む生活・必要な支援をケアマネージャー・医療スタッフ・介護スタッフと共に構築
2. 療養方針・治療方針(意思決定)の支援
3. 家族の支援・レスパイト入院の調整
4. 医療や障がい・福祉の関係機関との連携・多職種連携
5. 療養者の生活の質の向上(QOL)・社会参加に対する支援
6. 自治体(保健師)との情報共有

難病看護師の一般的な役割

1. 難病の病態・病期に応じた看護判断に基づき、患者の主体的な療養生活を支援する看護実践ができる
2. 質の高い療養生活を送ることができるよう、難病患者・家族に対して相談・助言を行うことができる
3. 難病患者・家族の支援について、看護職員・関係職種の職員に対して連携し、助言・支持ができる
4. 難病患者・家族の生活の質向上を目指した地域としての取り組みに参画し、社会支援システムの向上・創造に寄与できる

主たる指定難病の外来診療実績(2022年)

当院では年間約1,200名の神経難病患者さんの外来診療を行っています。

指定難病の外来診療実績(2022年)

パーキンソン病 635
重症筋無力症 114
多発性硬化症、視神経脊髄炎 111
脊髄小脳変性症 89
筋萎縮性側索硬化症、球脊髄性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症 48
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症 42
多系統萎縮症 37
皮膚筋炎、多発性筋炎 8
筋ジストロフィー 8
シャルコー・マリー・トゥース病 6
HLTV-1関連脊髄症 4
その他 111
合計 1223

指定難病申請者数(2016〜2022年、2020年を除く)

診療実績

HAL®医療用下肢タイプを用いたリハビリテーション

HAL写真

ほとんどの難病は根治療法がないばかりか、症状の進行を遅らせる治療も日々研究されているものの十分ではありません。当院では内服治療に限界のある神経難病患者さんに対して、2022年以降HAL®医療用下肢タイプを用いたリハビリテーションを行っています。対象疾患については下記の通りです。詳細は担当者にお問合せください。

HAL®医療用下肢タイプの公的医療保険適応対象疾患(2022年10月現在)

筋萎縮性側索硬化症(ALS)
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)
脊髄性筋萎縮症(SMA)
筋ジストロフィー
遠位型ミオパチー
先天性ミオパチー
封入体筋炎
シャルコー・マリー・トゥース病
遺伝性痙性対麻痺
HTLV-1関連脊髄症(HAM)

ACP(アドバンスド・ケア・プラニング)

 神経難病の患者さんには、「診断の告知」=「死の宣告」と受け取られることが少なからずあるため、診断早期から患者さん本人だけでなく、 家族や介護者を巻き込んだ全人的な医療、介護、ケアの提供が必要です。特に近年ACPとして議論されている胃瘻の造設や気管切開は大きく寿命に影響するため、 単純に延命治療とは言い切れない場合も多く、ACPの決断に当たっては、より慎重な治療方針の検討が必要となってきます。またその一方で、超高齢社会の現代社会において、 判断力低下や介護力不足などにより、本人や家族が決断できず気持ちが揺れ動くことが頻繁に見受けられるため、病院スタッフなど医療を提供する側の意思統一が重要になってきます。
 当院ではACPの意思決定のためのサポート資料を準備し、本人や家族に寄り添う医療を心がけています。

お問い合わせ

難病(神経・筋疾患)に関するご相談・お問い合わせは地域医療連携室まで、お問い合わせください。