ご挨拶
2025年には、団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者となり、世界に前例のない超高齢多死社会を迎え、その後も高齢化が進展すると言われています。それに伴い、脳血管疾患・虚血性心疾患・糖尿病・高血圧患者に対する急性期医療へのニーズに加え、生活習慣病などの慢性疾患や認知症を抱える高齢者が急増することから、医療や介護の需要がさらに増大することが問題となっています。当院は脳神経疾患医療の基幹病院として、緊急・重症患者の救命ができる専門性の高い看護師の育成、そして回復期・慢性期や暮らしの場に移行できる状態にまで患者の回復を支援し、患者を総合的に捉え、質の高い医療・ケアを効率的に提供出来る看護師の育成が必要になります。急性期医療は、治療に加え、看護の内容が患者の回復と「生活の質」の改善の程度に大きく影響するといわれています。質の高い看護の提供を牽引するのが、特定行為研修を修了した看護師だと考えます。
また、医師不足による諸問題に対応するため、今後は医師の業務負担軽減を図りながら、質の高い医療が維持できるように、特定行為研修を修了した看護師を活用していくことが必要だと考えます。特定行為研修を実施することで、より専門的な視点から患者の疾患・症状を理解した看護を提供できる看護師が増え、他の看護師のロールモデルとなることが期待され、専門職として自立した看護師の育成を図ることが出来ると考えます。
「特定看護行為」について
「特定看護行為」とは、診療の補助であり看護師が手順書に基づき38行為21項目を行う事。
「特定看護師」は、高齢化人口がピークを迎えると言われている2025年に向けて、医療を支えられる看護師の育成を目的に作られたもので、チーム医療を構成する看護師として特定行為を実践し、質の高い医療を提供することが役割。
医師から看護師へタスク・シフト/タスク・シェアが可能な業務
現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について厚生労働省医政局長 医政発0930第16条(令和3年9月30日)
1.特定行為;医師の事前の指示によりその都度、医師に指示を求めることなく、医師のあらかじめ作成した手順書により行う特定行為 2.約束指示;事前に取り決めたプロトコールに基づく薬剤の投与、採血・検査を事前に指示された患者に実施 3.救急外来;救急外来における医師の事前の指示や、事前に取り決めたプロトコールに基づく採血・検査の実施 4.血管造影・画像下治療(IVR)の介助 5.注射、採血、静脈路の確保など 6.カテーテル留置、抜去などの各種処置 7.診察前の情報収集
研修風景と実績
当院は、令和4年8月30日付で「特定行為研修指定研修機関」の指定を受けました。実施区分は、「動脈血液ガス分析関連」「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」の2領域です。
◆ 2024年度生の研修の流れ
2024年 | 6月 | 研修生の募集(公募・上司の推薦) |
2024年 | 8月 | 院内研修生の奨学金申請 |
2024年 | 9月 | 応募者の審査・受講生の決定・通知 |
2024年 | 10月 | 開講式 |
2024年 | 10月 | 研修:オンデマンド受講(講義・テスト・演習) |
2025年 | 3月4月 | 区分研修:オンデマンド受講(講義・テスト・演習) |
2025年 | 4月末 | 修了テスト |
2025年 | 5月~ | 実習 |
2025年 | 9月 | 修講式 |
2025年 | 10月 | 院内インターシップ |
2025年~2026年 | 特定行為看護師院内認定 |
研修の様子
- ④フィジカルアセスメント:身体診察・診断学を学ぶ
- ⑤臨床薬理学:薬理学、薬剤学をもとに薬の適応、副作用、相互作用、管理を学ぶ
- ⑥疾病臨床病態概論:患者の訴えから、鑑別診断を挙げ、体系的・分析的アプローチで診断する思考過程を学ぶ
- ⑦医療安全・特定行為実践